印籠

大学院入試の体験談を書きました。

院試対策(数学編)

はじめに

この記事では私が
東京大学大学院 情報理工学系研究科 電子情報学専攻
京都大学大学院 情報学研究科 知能情報学専攻
を受験するためにした数学の勉強法や参考書などを書きました。

基礎

数学は学部時代に全く勉強してこなかったため、まず基礎を固めるためにマセマ出版の以下の参考書に取り組みました(取り組んだ順に書いていますが当然数冊を並行に進めたりしています)。
線形代数
常微分方程式
確率統計
フーリエ解析
ラプラス変換
偏微分方程式
複素関数
微分積分
微分積分はあとからやっていないことに気付いたため最後になっていますが、一番最初にやるべきだと思います・・・。
具体的な勉強方法は、教科書を最初から順に読み進めてノートに自分の言葉でまとめ直すというごく普通で時間のかかる方法でやっていました。よくわからないところは一旦飛ばして2周目以降の自分に託していました。マセマがほんとにわかりやすすぎるので、あの能天気なイラストと文章を敬遠しているだけであればつまらないプライドは捨ててマセマをやりましょう、世界が変わります。

また、京大知能情報では専門科目で統計学が出題されます。その対策として
確率と統計―情報学への架橋
を使いました。これは京大の授業で使われているテキストです。内部生との情報格差を減らすために読みました。実際、このテキストに書いてある統計学に関する知識問題が出ました。「HARKing」という行為(詳しくはググってください)を説明させる問題で、マセマにももちろん載っていません。内部生と同じテキストを使うことの重要性を訴えていきたいです。

基本的に過去問の答えがなかったので、確実に問題の幅を広げるために
詳解と演習 大学院入試問題〈数学〉
を使いました。主に線形代数微積分の対策のためです。冒頭に書いた広範囲の分野の入試問題がそんな分厚くもない本1冊にまとまっているというなんとも怪しい本ですが、受験する専攻の過去問をやる以外に実践的な問題をやる時間はそんなに確保できないと思っていたのでこれでちょうどよかったです。本の中身は割と充実していて解答解説がわかりやすかったです。じっくり全問取り組んだのではなく試験で出そうだなと思った例題を片っ端から解いた程度です。答え付きの問題集で勉強するのは精神衛生的にはよかったです。

過去問

過去問ノートを作って取り組んでました↓ f:id:mapooon:20190903104845j:plain このようにA4ノートの左側に問題を貼り付けて右側に回答するようにしていました(このやり方は以前院試について調べたときにどこかで見つけました)。試験の解答用紙がA4サイズで配られるので実際の試験でのスペースの使い方の良い練習になりました。 1周目はある程度考えてわからなければ調べながらやる、ということをやっていました。取り組んだ問題数が少なかったのでせめて過去問のパターンはすべて覚えるぐらいの意気込みでやりました。私は
東京大学大学院 情報理工学系研究科 電子情報学専攻
京都大学大学院 情報学研究科 知能情報学専攻
を受験する予定だったのでこれらの専攻で公開されている数学の過去問はすべて取り組みました。東大情報理工は直近5年分、京大知能情報は直近3年分のみ公開されています。東大の方はそれ以上は過去問を入手することができませんでしたが京大の方は20年分ぐらいの過去問を入手できたので新しいものから8年分ぐらいは取り組みました(あんまり古いのは参考にならないと思った)。この他に、
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻
の入試問題は難易度がちょうど京大知能情報と東大情報学研究科の間ぐらいでマセマをやった人ならかなりちょうどいい難易度です。たまたま学科の友人が5年分の解答付き過去問を入手して提供してくれたので解きました(I氏本当にありがとう)。 当たり前ですが解く順番は難易度順に解きましょう。特に複雑理工の問題が情報理工の簡易バージョンになっていることが多々あるので、少なくとも複雑理工は情報理工より先に解くことをおすすめします。京大の方はあまり傾向がつかめなかったのでよくわかりませんが一部の問題を除けば マセマをしっかりやっておけば十分という問題が多かったと思います。

私と同じように東大電子情報と京大知能情報を併願する場合は6月末までの数検までにマセマ全冊1周+過去問を少しやるぐらいを目指すのが良いです。最低でもマセマは終わらしてください。専門が間に合わなくなります

京大知能情報のみを受験する場合はマセマは ・線形代数微積分 ・確率統計 ・(専門で信号処理を選択する方は)フーリエ解析(できればラプラス変換も) だけで良いのではないのでしょうか。

東大電子情報のみを受験する方は専門で信号処理を選択しない場合はフーリエ解析ラプラス変換以外はすべてやることになると思います。選択する場合は冒頭に書いたものを全てやることになると思います。

番外編 数検

院試勉強期間中に数検1級を受験しました。このときに使った参考書は
完全ガイド! 数学検定1級 出題パターン徹底研究
です。これについても分野ごとの問題集をやるほど時間はなかったので全てが1冊にまとまっている物を使いました。割と薄めなのでサクサク進められると思います。数検の問題は一問一問試験形式で解けるので楽しいです。ちなみに院試勉強の補強としてやっていただけなので整数問題は捨てていました
1次では7問出題されて5問以上正解で合格です。また1次では答えが合っているかどうかだけで採点されるので部分点はありません。これはネガティブに捉えれば計算ミスが一切許されないということですが、ポジティブに捉えれば証明をしなくても答えに当たりをつけて回答できるということでもあります。当日は5問だけ回答して見直しに全力を注ぎ、あとは祈ってました。結果、その5問が全て合っていてギリギリ合格しました。
2次は2題必答(大体線形代数微積もしくは微分方程式)、2題選択という試験形式で、それぞれ1点の配点で合計2.5点以上で合格です。こちらは通常の記述試験のように途中式なども評価されます。当日は必答の問題で曲面積の問題が出ましたが公式を完全に失念していたのでいきなり3点満点スタートになってしました・・・。結局書いたところが減点なしで全て合っていればピッタリ2.5点で合格だったのですが結果は2.2点で不合格でした(おしい...)。
数検は息抜きや試験慣れ、典型問題の速解きや見直しなど、院試力の底上げにはかなりよかったです。

最後に

マセマわかりやすすぎワロス